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September 25, 2005

戦うコンピュータ/井上 孝司

483991835X戦うコンピュータ―軍事分野で進行中のIT革命とRMA
井上 孝司

毎日コミュニケーションズ 2005-09
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Koji.net」といえば、そのスジの人にとっては割と馴染みのあるサイトで、IT系技術者として著作をいくつかと、そして何より「今週の軍事関連ニュース」ということで、軍事関係の、例えば装備品発注のニュースやら、予算配分の話、アメリカ軍での新計画スタートの話など、まとめて読むことでここ最近の軍事関係の状況が掴めちゃったりする便利なところだったりする。今はイラクでのIED攻撃での損害や、カトリーナ、リサで被害を受けた地域に派遣されているアメリカ軍の動きなどがわかるようになっている。

で、そこの中の人(笑)が書いたのが、上の本。今、軍事関係を襲っているIT革命について概略を纏めたもので、その近代から今に至るまでを手際よくまとめていると思う。
陸海空のうち、どうしても主導しているのはアメリカ軍であり、その中でも空軍、海軍が突っ走って、陸軍はちょっとその規模(最低ユニットは歩兵一人ですからね)から遅れ気味、という感じではあるが、その中でもとんでもない勢いでIT革命によるRMA(革命的変化)を起している軍事関係の変化を掴むことはできると思う。

一々「軍事研究」誌を読んだりするような人でなくとも、最近流行のRMAがどのように進み、どんな変化を行っていくか、すっきり纏まって判りやすいと思う。

まぁ、とはいえその軍事研究誌を読む限り、アメリカ軍の中の人も大変だ。とは思うなぁ。
大体、RMAによるトランスフォーメーションだ!といっても予算は限られているし、議会は情け容赦なく予算を切り捨てるし、アフガンやイラクでは戦費も必要。
でも機材はアップデートせにゃならんし(苦肉の策がブロック・・・生産単位で微妙なアップデートをする・・・って方法)、上の本でもちょっとした話として取り上げられているけれど、そのブロックによるバージョンが異なるせいで、機体側のソフトウェアがミサイルに対応しないという落ちまで発生。目下アメリカ空軍ではUAIと呼ばれるソフトウェア・インターフェイス・・・ぶっちゃけ言えば、OSと周辺機器に対するドライバによるインテグレーションを行う方法をとるとか。ご苦労さまです。
で、当のイラクではRMAでは対応しきれない治安維持活動やIED(即製爆発物)攻撃で苦しめられているし、派遣されている陸上兵力にしたって州軍とかがメインなものだから、装備品はどちらかというと陸自とどっこいどっこいか、もしくはそれ以下。戦車、歩兵戦闘車、歩兵(ハンヴィー改)の間で無線連絡すら満足に行えず思わず苦戦を強いられたケースがレポートとしてのっている。デジタル化師団(第四師団)とかまでが限界なのか、と思う。

だから、まぁ、軍オタ一同から防衛費削減で目の敵にされた(w政治家になられた片山さつき女史やアリアドネンみたいな方々がいうように、RMA化しろとか、戦車なんてダメじゃん装輪装甲車にしろ!とか言われても、そりゃ予算がありゃそういう装備もいいかもねー。としかいいようがないんだなぁ。

話が脱線しかけたけれど、軍事関係とコンピュータってどんな関係?っていうことを知りたい方にはいい本ですよ。

#追記その一。とはいっても、読むとちょっとバイアスかかってるかなぁ。というか、素直に頷けない点もある。ご本人はMicrosoft系の人だしね(w ちなみにネタバレ気味だが日本版フリッツXについては「イ号誘導弾」もしくは「エロ爆弾」でその顛末をググってください。涙無くしては読めませぬ・・・。

#追記というかヨタ話。日本のMD(ミサイル防衛)については、自分としては今いち賛成しきれない点があるのだけれど、アーセナルシップみたいなミサイル・キャリアーも一つの回答だろう。という気持ちがある。まぁ、意図はまんま佐藤大輔御大の「征途」における海上自衛隊の<10・4・10・10>艦隊プランと同一なんだけれどね。

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Comments

こんばんは。
面白そうな本ですねえ。艦船や航空機はRMAが強調される以前からデータリンクを構築しているので、まあ良しとして、軍事研究に連載されているFCS師団には疑問を持ちます。実現しないこともないんでしょうけど、一部を先鋭的な師団に改変するよりも、州兵の装備のボトムアップが先だと思うんですけどね。
ともかく、早速買って読んでみます。
追記;
片山さつき女史がTVで喋るのを見るたび、防衛庁の中の人もタイヘンだったろうなあ、とつくづく思います。


Posted by: ウイングバック | September 26, 2005 at 06:01 PM

どうも~。

いやぁ、正直金がかかるから陸上兵力でRMAはまだ難しいと思いますね。極端な話、兵士一人一人によるネットワーク化ですから。特殊部隊レベルならまだOKかもしれませんが、一般兵士、特に州軍レベルになんて行き渡るのは無理のような気もしますね。

大体、州軍の映像見ましたがボロなトラックだったり、南アやイスラエルの武装ブルドーザー購入したりとまぁ、大変だ、こりゃ。と思いつつ見てましたが。

イラク情勢については、戦費の問題もありますが本腰入れて地元イラク兵士を一人前の組織にする一方、州軍ばかりをこき使うのではなく兵士の頭数を揃えて「歩いて」土地を稼ぐ一方、地元の人々を味方に引き入れることが必要でしょう。

イラクの情勢を見ていると本当にアメリカって占領政策がヘタになっちゃったなぁと思いますね。ちっとは過去の戦訓を見て実践しろと言いたいですが。

余談の余談;
いやぁ、本当にTVで女史の話っぷりを見ていると疲れますね。何があっても自分が正しいと思っているんじゃないだろうか。ついでに交渉の余地がない。
ありゃ、自分の知らないことを勉強するというより、自分の理想(思い込み?)を補強するために勉強してるんじゃないか、っていう気がします(w

Posted by: BARSERGA@管理人 | September 26, 2005 at 08:55 PM

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